今月で運転免許返上１年が過ぎた。
　免許がなくなるということが実際どういうことか、肌身で知ることになった。以下、その一端を紹介して愚痴を述べることにする。

　昨年この辺が自動車運転の潮時かと思い、いろいろ不便はあろうが、高齢者の自動車事故が世間を騒がせているので、それ見たことかとならない転ばぬ先の杖のつもりで運転免許をあきらめた。

　まず一番不便になったのは妻の病院通いである。何せ、妻は現在足腰が弱く、ほとんど歩けない状態である。バスの乗り降りも既に難しくなっている。免許返上後、やむなくタクシーを利用していた。ところが１昨年２月にタクシーの迎車料金が値上がりして、それも含めると往復５０００円ほどのなってしまう。治療費１０００円なのにそれはないだろうと頭を抱える。
　もちろん私の通院もある。雨が降っている時は車を利用していたがそれもできない。

　買い物も同様、私がしている。それまでは車一辺倒だったがそれができない。ただ有り難いことにスーパーマルエツでは１回５５円で自宅まで配送してくれるのでそれを利用している。ただし、この配送料も今年の夏には倍額になる。

　その他、ちょっとした観光も食事も車で行くことはできない。私は電車で月１回位程度は出かけているが、妻は足が悪いので電車バスが無理、そのためこの１年結局どこにも出歩くことができなかった。したがって妻はストレスが想像以上にたまっているはず。

　それでありながら、我が家には車がある。別居している息子が我が家の駐車場を使っている。だから最近は、時間さえ都合つけば息子の運転で病院も買い物も運転してもらっているので、ありがたいことはありがたい。でも私が運転できればとつくづく思う。現に車はあるのだから。毎日車を横目で見ながら悔しい思いをしている。

　それでも運転して交通事故を起こすことを考えたら、やはり免許返上は正解のような気がする。

（完）
　令和　６年　６月　１日　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　DOKKOU著