私は、今月で満８１歳になるので、そろそろ免許の返上時期だと考えていた。しかしもう３年ほどは免許を持っていたいのだがと、いささか迷っていた。
　ところが矢先、事故を起こした。事故の内容は、最近よく見る横断歩道などのある交差点に立てられた１ｍほどのポールに、左側面を引っかけた。物損事故である。ポールのほうは頑丈で、わずかに車の塗料が着いただけである。しかし車の側面はだいぶ傷つき、修理代６６，０００円ほどかかった。それまでにも車に小さな傷をつけたことが２度ほどあった。

　家人はもうそろそろ運転をやめるべきだという。確かに、人身事故ではないが事故を起こしたことに違いないし、もし次起こせばそれ見ろと言われることは必定。万が一取り返しのつかないような事故を起こせば、あの時やめておけばよかったということになる。
　事故後１週間ほど真剣に考えてみた。結論、免許を返上しようと無理やり自分に言い聞かせた。

　ただ、これで車がつかえなくなるといろいろ支障が出る。ちょっと考えてみるに、
　1，妻の病院通いの足がなくなる。
　2，買い物が不便になる。
　3，石油ストーブの燃料買いができなくなる。
　4，墓参りりに行けなくなる。
　5，レストランなどの食事に行きにくい。
　今日ただいま後１月弱車に乗れるが、もう運転はほとんどしていない。それで分かったことは、多くの場合タクシーを使えばことは足りる。しかしだいぶ経費がかさむ。それに、買い物はスーパーに高齢者お届け制度があり、１回の配達料が５５円だからそれを利用している。
　そんなこんなではあるが、運転歴６０年の車の運転はやめにすることにした。いささか寂しい。

（完）
令和　５年　６月　１日　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　DOKKOU著