東京から南へ６６０キロ、
　伊豆小笠原諸島の一部でありながら周囲８０キロにわたって何も存在しない、それが絶海の孤島「孀婦岩」（写真）である。
　「孀婦」とは、夫と死別し、再婚していない女性。未亡人。寡婦。孀婦岩とはよく言ったものだ。
　いつだったかこの岩がテレビに写されて、実に感動した覚えがある。岩の高さは１００ｍほど。
　
　なんと気高い孤島か

　誰にも知られず誰も相手にせず

　しかも堂々と胸を張って屹立している

　漁師もめったに見ることがない

　数百年か数千年先には

　岩は消滅するという

　願わくば自分もそんな存在になりたい

（完）

令和　４年　４月　１日　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　DOKKOU著