新型コロナの終息はまだ先が見えない。
　マスコミでも毎日取り上げていろいろな報道がなされているが、一般の人たちには本当の新型コロナの恐ろしさが、よくわかっていないように思う。
　毎日毎日何人感染した、何人死んだと伝えられてももうその数字にマヒしているように見える。どこか他人事のような行動が目に付く。
　もし、自分が新型コロナに罹ったらどんな状態になるのか、時々マスコミが集中治療室や医療従事者がその対処しているシーンをテレビで流すが、本当に他人ごとではないと認知している人がどれだけいるのか。
　新型コロナで死ぬ人の多くは肺炎で死ぬ。私は肺炎で死ぬことの恐ろしさをいやというほど味あわされたことがある。
　今から５０年ほど前、私の父が病肺炎で死んだ。当時の医療は、大型病院でも人工呼吸器もなく、ただただ病状が悪化していくのを目の当たりにしながら、何も治療せずに時間を過ごした。
　肺炎が悪化してから約１０日、本人は息苦しさのため「はあはあ」と息を荒くし続けて、ついには炎症が肺のすべてを犯して息絶えた。
　これを一部始終私はなすすべもなく看取った。そして今日まで、そのことはあまりにも筆舌に尽くしがたくあまり人に話したことがなかった。人間死ぬときは肺炎だけは絶対になりたくないとも思った。
　ことほど左様に肺炎は辛いものである。もっとマスコミがそのことを大々的に報道して、個人個人コロナに罹らない努力をするべく仕向るべきだ。
　　

（完）

令和　３年　３月　１日　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　DOKKOU著