御存じのごとく今年４月１８日に、パリにあるノートルダム寺院が火災で尖塔はじめ寺院中央部がそっくり焼けてしまった。

　早速１０００億円を超える寄付が集まり、マクロン大統領は５年以内に今までよりも素晴らしい寺院を再建すると言っている。５年以内とは来年の東京オリンピックの次のオリンピックがパリで開かれるからそれに間に合わすということらしい。

　ここで大統領が言った「今までより素晴らしい寺院」とは、端的に言って今までの寺院をそっくり再現させるのではなく、新しいデザインで焼けた部分とくに尖塔部分を変えようということらしい。すなわち尖塔部分の新デザインのコンペを行うという。
　これにはフランス国内でも賛否両論真っ二つだという。それはそうだろう、たとえば日本で金閣寺（現に昭和２５年火災で焼失）や法隆寺が火災にあって再建される場合、新しいデザインを取り込んで再建させるなど考えられない。新デザインは五重塔を三重塔してしまうことと変わりないからだ。

　ただ、昔パリ万博の時エッフェル塔を造った。これまたパリの市街景観に合わないと当時大反対が起こった。しかし現在のパリにエッフェル塔は欠かせない存在で一大観光スポットである。であるからして、一概に新しいデザインを反対ばかりしているわけにもゆかない。いずれにしてもフランス人の考えがどう結論を出すか、もしかしたら奇抜な尖塔でも造るかもしれない、これは興味津々である。
　
　私もパリに行ったときノートルダム寺院を見学したが、感想は外部は華麗内部は荘厳といった印象である。ここでナポレオンの戴冠式が行われたのかとしみじみ思ったものである。また、特に室内多数のステンドグラスがきれいだったのが今でも思い出に残っている。

　最後になったが、ノートルダムとは「われらの貴婦人」という意味だそうである。
　　

（完）

令和　元年　７月　１日　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　DOKKOU著