私の家の私鉄最寄り駅出入り口脇に居酒屋がある。
　それまでもド派手なやり方で店のＰＲに余念がなかった。たとえば、店の廻りにぐるりと何十と赤ちょうちんをつり下げたり、派手なオレンジ色の大きな看板で客の目を引いたりと目立つことこの上ない。

　ところがそれにあきたらずか最近、
　「生ビール〇〇〇円」、「日本酒１合〇〇〇円」、「刺し身盛り合わせ〇〇〇円」、「マグロ中トロ〇〇〇円」、「ホッケ〇〇〇円」、「アジの開き〇〇〇円」、「鮭塩焼き〇〇〇円」、「肉じゃが〇〇〇円」、「塩辛〇〇〇円」、「おでん〇〇〇円」、「コロッケ〇〇〇円」、「おしんこ〇〇〇円」、「お茶漬け〇〇〇円」などなどのメニューを、店の外側の壁にところかまわずべたべたと２０数種類はあろうか、一品種縦１０ｃｍ横３０ｃｍほどの紙に赤い縁取りに墨で書きこんで貼りだした。

　それは見るからにセンスがなく、ただ目立てばいいだけの代物である。したがって駅の乗降者や近隣に対する美観的配慮もなく、いやそんな事お構いなしである。
　もっとも、その付近は下町の駅前であるから、近隣の店もそれほど褒められたデザインの店などない。言ってみれば香港のような新宿歌舞伎町のような猥雑な街環境そのものといってもいいであろう。

　私は、そんな自分の街の景観にいつもがっかりさせられるし、何とかならないものだろうかと思う。今のところそんなデザインでも罰則などはないのであろう。
　もし真剣に街環境に取り組むんであるなら、市なり区なりの行政機関が本気で取り組まなければ改善はないだろう。
　日本ももうそろそろそんなことを考えられる大人の国になりたいものだ。
　　

（完）

令和　元年　７月　１日　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　DOKKOU著