アメリカ・トランプ大統領が、今年に入り、またまた是非メキシコ国境に壁を造りたいと国民に訴えた。
　これは昨年の中間選挙で下院が民主党に過半数を奪われ、議会ですんなり壁の建設が認められなくなってしまったからだ。
　選挙公約で壁の建設を大々的に公約した大統領としては何としても壁を造りたいのだが、簡単に壁は造れない。一時はメキシコに壁の建設費を払わせるなどといっていたが、メキシコは猛反発、今やその話もどこかへ消えたようだ。
　
　この国境問題がテレビで流れると、その画面は必ずサンディエゴの国境が映しだされる。
　今から３０数年前、私は、このサンディエゴの国境からメキシコのティファナという町に行ったことがあるが、その時かなりなカルチャーショックを受けた。それはアメリカの豊かさとメキシコの貧しさについてだ。たったの壁ひとつで仕切られただけだが、あまりにも違いすぎる。メキシコから豊かさを求めてアメリカに来たがるのもムリもないし、それが中南米の国々の難民だとなおさらなのであろう。
　また、ティファナからの帰りにまた入国検査を受けた際、私の前に検査をされていた男が、突然二人の係の人が来て、男の首根っこを抑えつけ別の部屋に連れていった。たぶん薬物を所持していたのではないかと思う。
　
　私は、トランプ大統領の政策（例えば自国第一主義、ＴＰＰの離脱、地球温暖化パリ会議の離脱等）の大半は反対だが、メキシコ国境に壁を造ることは非人道的なことであることは承知のうえで賛成する。
　なぜかといえば、端的な話、一国を一軒の家と仮定すれば、難民といえども人の家に入るのにはその家の許可は必要であろう。勝手に人の家に上がることはできないはずだ。薬物問題も大変な問題だ。とはいえ忸怩たる思いもあるが。
　これが日本だったらと思うと、やたらに難民だからはいどうぞとはいかない気がする。
　

（完）

平成　３１年　２月　１日　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　DOKKOU著